磯山純「CLASSICS1」 リスニングレポート

磯山純、今年(平成26年)の 2枚目NewCDが8月中旬発売された。

磯山純 Classics1

¥1200(税別)

¥1200(税別)

ピアノに鈴木孝彦、チェロに伊藤修平を迎えてピアノ&チェロ&ギターという編成でのCDだ。

鈴木孝彦は以前から磯山純のバックをつとめることもあり、また「磯山純 acoustic1~ピアノと僕」、「磯山純 acoustic2~ピアノと僕」でピアノを担当するなど磯山純のCDにこれまでも深く関わってきたピアニストである。
http://www.pbw.jp/?p=profile

伊藤修平は有名アーティストのライブやレコーディングなどにも参加する人気のチェリストだ。聞くところによるとtwitterのやり取りの中で「僕もチェロで参加したい」とつぶやいたのがキッカケで今回の参加が決まったというから、仕事というより磯山純との共演を望んでいての参加と言ってよいだろう。
http://www.shuhei-ito.com/

左から鈴木孝彦 磯山純 伊藤修平

左から鈴木孝彦 磯山純 伊藤修平 From磯山純Facebook

鈴木も伊藤も音楽大学で大学院まで修了して、しっかりとクラッシックのバックボーンを持つ凄腕アーティストである。
さて、実際のアルバムの内容だが、それは期待通りというか、期待を大きく上回る出来になっていた。

鈴木の繊細なピアノと低くそして深みのある伊藤のチェロの音色が想像以上に磯山純の歌声にマッチしていて心地よく聞くことができる。

 

1 レンタルが始まって

1曲目は「レンタルが始まって」。音源化されてはいないが、ワンマンライブでは以前から演奏されていて人気の曲なだけに音源化されるのを心待ちにしていたファンも少なくないはずだ。
磯山のボーカルから始まって、ピアノのイントロ、一番のサビからチェロが入っていくアレンジは期待通りの展開で思わず「これだ!」と深くうなずきたくなる。間奏の伸びやかで流れるようなチェロのソロが本当に心地よい。恋愛映画のようなドラマチックな収録になっていると感じる。

 

2 Rolling Stone

2曲目はこちらも以前からのファンには人気のRolling Stone。CD音源化は初めてだ。こちらも音源化を楽しみにしていたファンも多いはず。
私はまだ、この曲をライブで聴いたことがないので、ライブでどのようなアレンジで演奏されているか知らない。しかし、以前からこの曲を知っているファンにとっても、今回のジャズっぽいアレンジ&演奏は1曲目の「レンタルが始まって」とは異なり、想像を超えるものになっているのではないだろうか。
ちょっと不安定な雰囲気のピアノのフレーズでスタートして、そこにチェロでテーマメロディーが重なり、一転、目の前が開ける様な分散コードのギターが続くというイントロが個人的にはすごく好きだ。
そして、チェロのピッチカート奏法(だと思う)でのベースラインが、まるでウッドベースのような響きで心地よい。

 

3 ゴーグルウルトラマン

3曲目は、今年3月茨城県民文化センター大ホールでのワンマンライブ当日に発売されたCDに収録されている「ゴーグルウルトラマン」。3月発売のCDではフルバンドのバックにアップテンポのアレンジで収録されている。しかし、今回は何と歌なし&ピアノソロで且つスローテンポなアレンジで収録された。

3月発売のCDでは「“死”をテーマにしたラヴ・ソング」(amazonサイトの商品説明より)という重いテーマのこの曲をアップテンポのアレンジすることで軽快に聞かせていた。

それに対して、今回はテーマの“死”について聞く人の心にストレートに迫るようなアレンジ・演奏になっていると感じる。が、重くなりすぎることなく聞くことが出来るのは歌がなくピアノのみというアレンジからなのかもしれない。

加えて、ピアノのみというインストゥルメンタルアレンジが「メッセージ性の強い歌と声が魅力」と思われがちな磯山純がメロディーメーカーとしても優れている事を再認識させてくれる。
個人的には「あ~『ゴーグルウルトラマン』ってこんな切ないメロディーだったのね。」と気づかされた演奏だ。

 

4 月の満ち欠け

今回のCDで最後に収録されているのが、「月の満ち欠け」。この曲は現在Sold Outになっている2nd Maxiの最後に収録されている。前回がエレクトリック・ピアノとベース&ギターという編成だったが今回は生ピアノにチェロ(ピッチカート奏法でベースラインも演奏されている。)そして、ギターの編成になっている。
そして驚いたのは今回はキーが前回より上がっていること。
アレンジの関係でキーを上げることになったのかもしれないが、シンガーにとってはそれだけ広範囲の音域を要求されることになるので簡単ではないはずだ。それに挑戦した今回の収録は磯山純が以前よりもステップアップしている事も実感させてくれる。
また、以前よりもキーがあがっていることで、またピアノとチェロの絶妙なバランスの伴奏で以前より前向きに明るく「諦める事はない。」というメッセージを訴えかけてくるように感じる。間奏のチェロのソロは心を揺さぶられるようで本当に好きだ。

 

今回のCDを発売と同時に行われた何回かの「ピアノとチェロと僕」ツアーでは、ピアノで鈴木に代わってブラックスワン(磯山純のフルバンド)のメンバーの金井央希やcoba84が参加したことがある。
まだ「ピアノとチェロと僕」ライブを見ていない私はCD収録のメンバーだけでなく金井央希やcoba84がピアノを担当するライブもすごく興味深く是非見てみたい。

今回のタイトルは「Classics1」。当然、他のファンと同じに「Classics2」を期待している。

今回紹介のCDはamazonからも購入できます。

4 Comments
  1. 中島さん相変わらずすごいです!(^-^)鈴木さん、伊藤さんのブログ?まで添付されていてとても親切!(^-^)何よりすごいのはやはり曲の分析!(*゚∀゚*)ピッチカート奏法【私はカーターファミリーピッキング奏法しか知りません(^^;)】は初めてお聞きしましたがわかってしまう中島さんすご過ぎです。その上驚いたのが月の満ち欠けがキーが上がっているという事を聞き分けてしまう中島さんです(*゚∀゚*)恥ずかしながら私は全く気付きませんでした(^^;)本当に驚きました。中島さん音楽家兼評論家で間違いなくやっていけますよ(^-^)最後まで楽しく家内と読ませて頂きました(^-^)なかなかパソコンを開く時間がなく返事が遅れてしまった事を深くお詫び致します(>_<)

    • 過分なお褒めの言葉、ありがとうございます。磯山さん、鈴木さん、伊藤さんが見たら「違うんだよな~。」といわれてしまうような間違えもあるかもしれません。あくまでも素人の超個人的な感想レポートですから・・・。それでも、少しでも楽しんでいただける点があれば嬉しいです。

  2. 以前こちらのブログを拝見していました。

    最近、CLASSICS1を良く聞いています。
    完成度の高い作品集だなと思っています。

    純くんのギターテクニックに唸ったのは、Rolling stoneの前奏でした。
    CLASSICS1のRolling stoneは更にパワーアップしています。チェロの音が入ると重厚感が出て兎に角カッコイイと思いました。伊藤さんのはアレンジ素敵です。

    レンタルが始まって♪は自分の経験などから、あるあると条件が思い浮かぶ。
    辛い事があっても、何もしない状態が続いても時は過ぎていく。
    だったら笑いながら過ごしたいし、もう少し頑張ってみようかな?!
    うんうん、涙涙。毎回聴くたびに泣いてしまう曲なのでした。

    ゴーグルウルトラマン[Instrumental]は鈴木さんのピアノに聞き惚れました。物悲しいピアノの音色に感動です。

    月の満ち欠けは、あの時に歌いたい曲だったようです、、、。

    改めて、このブログを見る事が出来て嬉しかった。
    中島さん、ありがとうございました。

    • てるみん さん
      コメントありがとうございます。

      ピアノ&チェロ&ギターというCLASSICSの編成はすっかり定着して人気がありますね。
      ギターだけやフルバンドでは見られないような雰囲気が感じられるのがファンの心を掴んだ理由でしょう。
      伊藤さん鈴木さんの力は大きいですね。

      これからも、お二人には磯山さんのまだまだ隠れた魅力をググッと引き出しもらいましょう。

濱地典夫 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です