「磯山純」を知っている人で、フルバンドをバックに歌う彼の姿を知っている人は、どのぐらいいるのだろう。熱烈なファンは別にして、磯山純といえば「茨城県水戸市出身のシンガーソングライター、磯山純」と一度もかむ事もなく早口で自己紹介しながらギター一本で歌う姿しか知らないのじゃないだろうか?
at 水戸駅北口
つい4ヶ月前に彼を知った私もその中の一人だ。
実際、彼のメインの活動は基本的に一人または数人との競演で、フルバンドでのライブはまだ数少ない。
そんなこともあってか、フルバンドバックの彼のライブをなかなかイメージできなかった。でも、ファンになりたての頃、熱烈なファンの方数人から聞かされた、「フルバンドの磯山純は別人のようです。全然違います。」と。
そんなこともあり、6月7日水戸のライブハウス「ライトハウス」でのフルバンドワンマンライブを楽しみにしていた。
初めてだったが会場のライトハウスはそれほど大きくない会場でステージと観客席は本当に近い。その上、スタンディングが基本のライブハウスだった。ただ、年齢や個人的な事情でスタンディングが大変な方のために2階席には座って見られる様特別椅子が準備された。これも、磯山純のファン層の広さと彼の「どんな人にも楽しんでもらいたい。」というおもてなしの心の現れなのだろう。
比較的に早く入場し、観客を見ていると本当に年齢層が広い事を改めて感じる。下は小学生から上は結構高齢の方までいらっしゃっていた。性別は圧倒的に女性が多い。そしてファンの方はしっかりと磯山純オリジナルタオルを持参していた。
予定時間から15分遅れて18時15分にライブは、マコトが奏でるファンキーなギターイントロでとうとうスタートした。
今回磯山純のバックをつとめたメンバーは、マコト(ギター)・金井央希(キーボード)・coba84(キーボード)・天神タケシ(ベース)・稲田一郎(ドラム)の5人。
(今回のライブの後に「ブラックスワン」というバンド名になったらしい。)
今回の演奏を聞いての個人的な感想は以下のような感じだった。
マコト(ギター&コーラス&MC バンドマスター)
ファンク系のカッティングに時々泣きのリード。磯山純のライブでは音をひずませてのハードロック調な音は使っていなかったような気がする。どこかキース・リチャードの雰囲気を感じてしまった。
金井央希(キーボード)
主にピアノ音でのコード系のバックが中心。Jazzのノリを感じるのは私だけ?
coba84(キーボード)
シンセサイザー音やブラス音、そしてストリングス音など音色を駆使して演奏に厚みを持たせていた。
天神タケシ(ベース)
ドラムの稲田とともにバンド演奏にしっかりと抑える感じはもちろん、ノリのいい曲ではどこかラテンテイストのファンキーなフレーズを気持ちよく聞かせてくれた。自身でラテンバンドもやっているということなので、なるほどだ。
稲田一郎(ドラム)
派手さはないが、渋くそしてしっかりとリズムを刻んでいる印象。黒のジャケットにネクタイ。前かがみで黙々とたたく姿が誰かに似ている!と思ったが、その誰かが思い出せない。
演奏の途中にギターのマコトと目を合わせてニヤとするところが、バンドの雰囲気のよさを感じさせる。
磯山純が「みんなそれぞれ凄腕です。」というのが納得のメンバーだ。
私は広くない観客席の一番後ろPAの前で聞いていたが、どの楽器の音もクリアに聞こえ演奏を十分楽しむことの出来たライブだった。
そして、バンドメンバーが演奏中にアイコンタクトしながらの表情からもバンドの一体感とそれぞれが演奏を楽しんでいることが十分感じられた。
そして、肝心の磯山純。
当たり前の話だけれどストリートライブやインストアライブでずっとギターを持って、走り回ることなんてない。しかし、フルバンドのライブでは曲によってはギターを持たず、ステージを縦横無尽に走りながら、そして振り付けをしながら本当に楽しそう。
ストリートでは一生懸命「思いを伝えたい。」という気持ちが前面に出ているが、フルバンドのライブでの彼は「みんなで楽しもう!」という雰囲気でいっぱいのように感じた。
これが多分「フルバンドの磯山純は、ストリートとは全然違います。」ということなのかもしれない。
当日の演奏セットリストは
1 Knock
2 テナント募集
3 clapclapclap
4 空中ブランコ
5 ラブユーベイベー
6 ゴーグルウルトラマン
7 桜色の街
8 ダンデライオン
9 愛のカタチ
10 BGM
11 参列者
12 DanceDanceDance
13 スプモーニ
14 全とっかえ
15 流れ星
アンコール
16 7月7日、くもり。(新曲)
~金井央希のキーボードで会場全体でHappy Birthday to Jun!~
17 いつか湖のほとりで
セットリストを眺めてみると、磯山純が2年前から水戸で活動を再開してからこれまで、そしてこれから彼の曲を聴く人への思いがストーリー仕立てになっていたのかな~としみじみ感じる。
彼の活動コンセプトは「Love yourself」と「地域振興」。
どちらも一シンガーソングライターが掲げるには大きな目標で、その姿を本気にしない人もいるに違いない。
しかし、一見無謀に見える目標も実現する強い意志と行動力を彼に見ることが出来る。
彼が地元の水戸で活動を再開した2年前から驚くほどのスピードで活動の輪が広がっていっている。
実際、これまでの磯山純の地道な活動が認められ、今年6月4日には水戸市からみとの魅力宣伝部長を委嘱された。
「千波湖で1万人クラスの野外イベント」
2年前には無謀に思えた目標も「近いうちに実現するかも?」と思えるフルバンドライブだった。
・・・と冷静に振り返ることが出来るのはライブから1週間たった今だから。
ライブの直後の感想は、会場全体がひとつになって心から楽しめるライブだった。
そう感じたのは、単にステージと観客席が近かったからではなく、磯山純とバンドメンバー、そして観客の心が繋がって楽しんだからに違いない。
次の、フルバンドライブが楽しみになった。