鴉がNew Albim「還り咲」をリリースしました。
5年ぶりとなるこのアルバムは、レーベルもメンバーも変わってのNew「鴉」の記念すべきアルバムです。
10代で上京し、20代後半で地方に戻ってきた自分には、グッと身に染みるアルバムでした。
そして聴いて感じたのは、色々な意味で「大人のハードロック」だなということでした。
まず、アレンジは重低音のしっかり効いたキレのあるドラム&ベース。それに乗っかるギター。でも、色々なテクニックを駆使して華麗にというよりはハードロックで王道のパワーコード中心のリズムカッティングに唸るリード。
色々とやってきた上で余計なものが削ぎ落とされた「大人のハードロック」という印象です。
そして楽曲。近野淳一さんはミュージックフリーマガジンの「JUNGLE☆LIFE」に「これまでの激しい中にもほのかに香らせてきたポップさを排除し」と書いていますが、いえいえどうして、キャッチーで気持ち良い曲も含まれている気がします。
ただ、今回は民謡や演歌のテイストを感じさせるようなフレーズを含むいわば「鴉製JapanRock」的な独特な曲も含まれています。
このような流行に流されないオリジナリティあふれる楽曲がたくさんあるところも「大人のハードロック」を感じます。
そして最後に、歌詞。
「都会と地方」「洗練と素朴」という相反する価値の中で揺れ動く若き男女の恋模様を四季折々の風景の中で描くというコンセプトで曲がつづられています。
個人的には曲中の若き男女の恋模様に「夢と現実」「希望と恐れ」「成功と挫折」という誰もが皆自分の中に持つ葛藤と受容そして、その昇華を感じました。
その意味でも、この「還り咲」は、そんな葛藤真っただ中の若者に、曲中に男女を通して寄り添い、そしてそこを通り越してきた人間には若い時のほろ苦い記憶を懐かしさとともに思い起こさせる「大人のハードロック」アルバムだと感じました。
どの曲も好きなのですが、あえて好きな曲を具体的に上げると
・されど存続 ・蛍 ・霙 ・都
です。
特に「霙」は、歌詞とメロディそしてクリーンなギターの音色が自分が東京から帰省する時に無人駅の多いローカル線に乗っているのを思い出させてくれてて特別な感情で聴きました。
そして「都」。結局、地方で生きることを選択した自分の応援歌として聴かせてもらってます。